こんにちは、うどんです。
書店ガール5もきっちり読み終わりました。
こちらも、相変わらずご多分にもれず「子育て小説」のジャンルにしっかり入ります。
とはいえ、今回は「子育て小説」目線にはあまり着目せず、やはり書店周りのお仕事にいそしむ主人公たちに注目して紹介していきます!
今回も、思いっきりネタバレありなので、自分で読んで楽しみたい方は、ほんとうにご注意下さい!
書店ガール5のレビュー
今回の主人公は彩加と伸光
前回の「書店ガール4」で、主人公が西岡理子と亜紀という大手書店勤務の女性社員から、若手の彩加と愛菜に変わって、視点がより若い人のものへと移っていきました。
(書店ガール1〜3はこちら↓からチェック)
(書店ガール4はこちらから↓)
今回の「書店ガール5」の『書店ガール』は、大手書店チェーンに勤めながらも、駅ナカの小規模店舗を店長として任されることになった彩加にスポットが当てられています。
さらに、『書店ガール』ではないのですが、亜紀の夫、伸光も新興のラノベ文庫(疾風文庫)編集長として、スポットが当たります。
こちらでは、出版社の編集の仕事が、今まで以上に詳細に描かれていて、やはり本好きにとっては、嬉しい内容となっています。
出版って、作家だけがすごく大変なイメージあるけど、それを支える編集者の仕事っていうのも、ものすごく大変なんやね〜
新しい職場、新しい人間関係で一生懸命働く姿
彩加も伸光も、それぞれ新しい職場で、それぞれ「店長」「編集長」という責任ある立場で、職場を築いている立場。
彩加は書店のアルバイトを雇うところ、伸光も同じく編集部に人材を集めて、さらには疾風文庫から新人作家を育てていくところからのスタート。
とはいえ、とっても厳しい出版業界の中で、新しいことを始める人たちには、逆風が起こることもとっても多いのです。
色々と苦労はあるけれど、彩加も伸光も、信念を持って、自分の目指すところを見失わずに、着々とそれぞれの居場所を育てていきます。
このあたりの苦労の描写が、リアルと重なる人もいるかもしれません。
特に産後に復職したワーママなどは、「マミートラック」と呼ばれるような、これまでとは違う部署で、違う働き方を強いられるケースも多いでしょう。
私も産後1年目から、職場も仕事内容も住居も変わって、けっこう苦労したしね。
彩加や伸光のように、責任ある仕事ではなくても、会社や組織、または取引先相手に仕事をする責任と、育児をするという最も重い責任を同時に抱える苦労は、はかり知れません。
伏線には早めに気付きます
そんな中、伸光の新興ラノベ文庫で主催した新人賞を、ある無名の若手作家が受賞します。
で、この作家が実は…っていうオチなのですが、比較的わかりやすく伏線も描写されているので、気付く人は早めに気付くと思います。
「どんな風に回収するのかな?」と楽しめたらいいと思います。
子育て小説のピークはクライマックス。そして複雑な点
思いっきりネタばらししてしまうと、新人賞を受賞して、伸光の疾風文庫で若手作家として育てていくことになった作家、原くんは、実は彩加の書店で働き出したアルバイトの青年だったというオチです。
そして、痛いミスを犯した疾風文庫が巻き返しをはかるためにも、彩加の取手の小規模駅ナカ書店、ひいては常磐線沿線書店を盛り上げるためにも、何より作家原くんを応援し、作品の続編を世に送り出すためにも、伸光や彩加は仲間を巻き込んで、原くんの新人賞受賞作品を盛り上げます。
ただ、どれだけ本が売れても、なかなかそのことを両親に伝えられなかった原くん。
取手の書店でサイン会をする日に、実は弟をはじめ、両親もその場に来ていたのでした。
そして、原くんがなぜニートになったか、実は父親もかつて同人誌に投稿したことがあったこと、なのに父親は書くことができずに、小説家の夢を諦めてしまったこと、そして小説家という職業をおとしめてきたことなどが明かされるのです。
そして、感想なのですが…
ちょっと、家族との絡み、簡単すぎる気がしますー!!
もちろん、本屋が舞台なんでね、しょうがないんですけど。
子育て小説という読み方をするには、この家族の過去は、もうちょっと丁寧に、詳細に描いてほしかった気持ちもあります。
もう、ほんとに最後にポポポ〜ンじゃないですか。
まあしょうがないんでしょうけどね。
あくまで、彩加と伸光目線で描いているわけだし、原くんの家庭の事情もこの二人の目線でしか追いかけられないんだから。
あと、あとね、子育て小説目線で言うと、「子どもがニート」ってちょっと厳しい状況が、いきなり新人賞大賞受賞するって、ちょっと棚ボタすぎないか?と思ってしまうのです。
もうちょっと、子どもがニートになっちゃった場合の現実も伝えて欲しい…
あるいは、実際にそういう人もいるのかな?ラノベって、全然読まないので知らないけど、誰かをモデルにしているなら、少しは納得できるかもしれません。
でも、親なら、子どもがニートになって不安で不安でたまらないときに、「いつか作家になってくれるかも」なんて淡い期待は描かないし、そんなお話は求めてないのですよね。
というわけで、このあたりをもって「子育て小説」とするのは少し苦しい気がしました。
どちらかというと、上述したように、新しい職場でなんとかやっていこうと努力する姿に共感する子育て世帯の方が多いかなと思います。
まとめ
「子育て小説」として読むべき部分について、少し議論しちゃいましたが、何より書店ガールらしい、クライマックスにかけての盛り上がり方はとっても面白いです。
個人的には、伸光のなりふり構わず営業と一緒に書店を巡るあたり、とても新鮮な感じでした。まさか、書店ガール初刊で亜紀と結婚したころ、イケイケコミック編集者だった伸光がこんな風に働くとは思ってもみなかったなあ。
伸光もすっかり変わったなあ。あとは、子育てももうちょっと頑張ってくれたら、いい男なんだけど。
さて、第5巻のレビューはここらへんでおしまいです。
第6巻は、割と第5巻の流れを受けているので、「5巻おもしろかった!」という方は、ぜひ第6巻も手に取ってみてくださいね!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。