こんにちは、うどんです。
子育て小説レビュー第三弾は、宮部みゆきさんの「誰か」です。
はっきり言って、レビューとしてはまとまってないです。
その代わりサクッと終わるので、ちょっと覗いてみてくださいね♪
ネタバレは多少あるので、ご注意ください。
偉大すぎる作家はなぜレビューできないのか
宮部みゆきさんの作品、時代小説ものも、ミステリーもどれも大好きだし、
ある意味どれも「家族」がテーマだから、確実に「子育て小説」カテゴリーで間違いなしでしょ!と思って、軽く読み始めたのが間違いでした。
なにがミスったって、まず面白すぎるんです。
あかん、グイグイ読んでまう。細部も読みたいけど、でも、続きが気になりすぎて手が止まらん!
宮部みゆきファンの方ならこの感覚わかると思います。
長編とか、安易に読み出したらダメです。有給とかとったほうがいいです。絶対。
で、読み終わったころには、フルマラソン完走した気分なもんで、
「今の気持ちは?」とか聞かれても、
超気持ちいー!
くらいしか言えません、いや、言えて、「めっっちゃおもろかった」に尽きてしまうのです。
あー、おそろし。
宮部みゆき作品は子育て小説レビューには向かないのか
本気になって、宮部みゆき作品を一気読みして(怖い)、ガチで子育て小説視点でそれぞれ分析すれば、何かしら言えるとは思います。
それなりに、面白いと思う。(いつかやってみたい)
でも、何が難しいって、宮部さんの家族の見せ方って、本当にめっちゃリアルなんです。
どういうことかと言うと、小説なんで、もちろん登場人物はたくさんいます。
で、それぞれの登場人物にそれぞれの濃度でその家族についてもチラチラっと見せてくるんです。
だから、いろんな家族が出てくる。
でも、その情報はすごく限定的なんです。
「あ、この人のおかあちゃんはそういう物言いする人なんや」とか、
「この人が大成しはったんは、ひょっとして奥さんのおかげなんかな?」とかちょっとずつわかる程度です。
現実の世界もそうですよね。
他人の家族についてなんて、ほんと一部しか知らないし、勝手に邪推してる部分も大きいし、とはいえ、気軽に家族について質問とかできない。
仲のいい同僚なんて、ほんとに表面的な部分しか知らずに、だいたいの情報は自分で勝手に補完してるものです。
自分の家族、旦那や自分の親兄弟にだって、聞けない部分てあります。
そういう、「全貌の見えない」感じが宮部さんの作品の特徴で、
わからないなりに、やっぱり勝手に推測しながら読み進めて、ちょーっっとずつ事実がチラチラ見えてくるのが面白いところです。
というわけで、たくさんの家族が登場するわりに、「この家族の子育てはこうだった」って断定しづらいんですよね。
それでもちょっとだけ頑張ってまとめてみる
でも、少しはあがいてみましょう。
あくまで「子育て」の観点で見ると、「子育て」のゴールは「子どもが幸せそう」とか「子どもが成人して真っ当な大人になっている」とか、そんなことだと仮定します。
面白いのは、「幸せそうな子ども」と「真っ当な大人」になってるのは、主人公一家です。
超エリート大金持ちの妾の子ども(妻)と、主人公の杉村、そして夫婦の子ども、桃子です。
杉村の家も割と普通そうですが、母親はだれよりも口の悪い人間として描かれているし、
そもそもこの家族自体、とてもいびつな構成なのです。
でも、その日々の生活は、ただもう、幸せに満ち溢れています。
一方で、杉村に協力を請うことになった聡美と梨子の姉妹。
聡美は、両親の苦労や妹への嫉妬を抱え、ひどい小心者ながらも、すごく真面目な人間として描かれています。
そして10歳離れた妹の梨子は、親の愛情を一心に受け、自由に育つのですが、しっかり者の姉に対する嫉妬、そしてそれはとてもねじ曲がった方向へと進んでしまいます。
聡美と梨子の親は、それなりに苦労はあれど、子育てをしていた頃にはおそらく真っ当な人間なんだと思われます。
う〜ん、梨子の性格は若さゆえなのか。どうしてこうなったんだー???
「親の愛って言っても、ただ単にかけりゃーいいってもんでもない」、ってことを暗に言われているような気がします。
全然、子育てへの教訓得られないです!宮部先輩!
「真っ当な人間」に育てるためのポイントってなに〜???
と問い続けながら、これからも生きていきなさい、覚悟を決めなさい、と諭されたような読了感がありましたかね。
子育てに正解はない。
けれど、でも「家族とはなにか」の問いの答えも見えなくはないような、でもとにかくミステリーとして最強におもしろいので、子育て云々よりミステリー好きな方はぜひ読んでみてください。
最後に、
私、一応軽く読み返したんですけど、タイトルの「誰か」が誰のことを指しているのかは結局今でもわかりません。
誰かわかった人がいたら、ぜひ教えてください!