【子育て小説レビュー⑪】マンション購入が怖くなる!?垣谷美雨「ニュータウンは黄昏れて」

おしごと

こんにちは、うどんです。

今回は、前回に引き続き、柿谷美雨さんの「ニュータウンは黄昏れて」です。

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これは、持ち家を検討している人、マンション購入を検討している人、マンションを購入した人、マンションを相続した人、全てに読んで欲しい、とっても大事な本です。

マンション購入した方には、申し訳なくなるくらい、
この本読んだら購入怖くなってしまいます💦

今回もネタバレ注意です!

ですが、今回から小説レビューはなるべくあらすじや引用は省いて、感想メインで突き進みます!

「ニュータウンは黄昏れて」で怖くなったもの

ローン・金利が怖い!

バブルですよ、主人公の頼子が中古のマンション(公団団地)を購入したの。
で、えげつない金利でローン返済に苦しむのです。

バブルがはじけた後、旦那の給料も肩書きも上がらず、むしろ下がっていき、ローン返済に苦しみます。

5400万円で購入し、4000万円のローンを組んで、金利は6.9%のままで、ローンの支払い総額は1億円にもなってしまうのです…。

そして、不動産価値は下りに下がって、1500万円。ローンも残っている…売れない…

バブル前は2000万円前後ということなので、価格の下がり方は妥当と言えば妥当なのでしょうが、バブル時に購入することの恐ろしさがここにあります。

頼子本人はというと、時給900円のパートで1日中鯛焼きを焼いています。

娘の琴里にしても、大学進学の費用を教育ローンで賄ってしまい、しかも就職できないままローン返済に苦しみながらフリーターをしています。

ローンて、めっちゃ怖いって実感したの、この本読んでからです。

旦那一人の給料をアテにして、チャラになるのは、旦那が死んだ時だけですもんね。

でも、実際に給料が下がったりリストラされたり、鬱などの疾患を抱えたら、ローンを組んだときの予定とは大幅に変わってきてしまいます。

バブル当時の金利で苦しんでるのに、旦那さんの給料が下がっていたら、借り換えすらできないなんて怖すぎです。

ちなみに、この本で初めて「住宅双六」という言葉を知りました。

バブルの頃は、集合住宅を購入して、数年住んで、割増で売って、その資金で一戸建てを買うというものらしいのですが、ほんとバブルならではの考え方ですよね…。

今でももちろん色んな資産の増やし方はあって、住み替えていく人たちはいるのでしょうが、それがサラリーマンにとっての「当たり前」とは決して言えません。

今でも住宅に苦しむ人はたくさんいると思いますが、この主人公の頼子一家はバブルによる落差をモロに直撃した庶民がどんな苦しみ方をしてきたのか、まざまざと見せてくれます。

何が怖いって、これがほぼほぼリアルだってことよ!

団地の建て替え問題、怖い!

そして、団地の理事会役員に当たった頼子が直面するのが、建て替え問題。

すでに建設から30年以上が経過して、建て替えについて理事会で検討することになります。

建て替えなくても、必要な補修をするだけで1戸あたり1800万円かかるけど、建て替えによって住戸数を増やしたら、修繕費はかからないという美味しい話が建設業者から飛び込んできます。

ここで、「建て替え推進派」と「反対派」のせめぎ合いが始まります。

修繕にしても、古いタイプの団地は水道管の補修ですら高額になってしまったり、エレベーター問題だったり、老人の割合が多いと自治自体が危うかったりするあたり、本当にリアルです。

この本、不動産業者さんの間では、必読書と言われているらしんだけど、それも納得だわ〜

実際、いまの共働き世帯でも高層マンションを分譲で購入して住んでいるケースはとても多いと思うのですが、皆さんどこまで建て替えのことまで考えているのでしょう。

この建て替える際にも、全住民の五分の四の同意が必要という点にしても、到底無理なことのように思えます。

実際、この本の建て替え案自体、思わぬ形で吹き飛んでしまいます。

最近の家であれば、もっと長期間利用できたりするのかもしれませんが、修繕にしても管理にしても、お金も労力もどちらもかかる話です。

このマンションの建て替え問題、頼子自身もびっくりするような形で関わり続けるのですが、結局のところどうやって解決したかまでは書かれていません。

老朽化したマンションは、売り逃げしたもの勝ちと読めてしまうのは、
私だけかしら?

住民というか理事会というかぶっちゃけ老人が怖い!

住民の多くが高齢者となってしまった団地。高齢者の多くは、「最後までここに住むんだから、資産価値が下がろうと関係ない」と考える人も多いとか…

でも、つい最近相続でもめた私から言わせると、

資産価値が下がって、売ろうにも売れない物件を子ども・孫に相続させるなー!!!

と、声を大にして言いたいです。

もう、理事会そのものも「若い人」(70歳以下)に押し付けようという動きがあったり、団地の草取り作業自体が「若い人」担当だったこともあったり、もう無茶苦茶です。

新規で入居した世代は、当時家族ぐるみで付き合っていたこともあり、謎の連帯感があったり、「あそこは、息子さんが大変だから…」で、資産価値が下がるような行為が黙認されていたり、ちょっと考えられません。

が、実際には、似たようなことが全国で起こっているのでしょうね…

ついでに変な男の人も怖い!

琴里が付き合う男性も実はすごく変な人なんですが、なんせ資産家です。

「金持ちだから付き合う」というと言葉は悪いですが、正直「自分の知らない世界を見てみたい」「余裕のある大人の男性」を魅力的に感じることは誰しもあるのではないのでしょうか。

しかも、結婚を前提に付き合うということで、教育ローンを返済してくれたり、頼子の家の住宅ローンまで返済してくれるというのです。

その申し出にグラっとくるのもしょうがないと思う反面、やっぱり冷静に考えれば変な話なのです。

で、ここで面白いのが、この変な男性、つまり黛を見事に飼いならしてしまった、琴里の友人、朋美です。

垣谷美雨さんの作品では、「農ガール、農ライフ」の静代のように、結婚相手に恋愛感情を求めず打算的に相手を選ぶ女性が登場するのですが、このは、その最たるものとも言えます。

意外と、恋愛感情だけで結婚相手を選ばない方が、あとあといいのかも…。

とはいえ、朋美が最後に友人たちをイギリスの邸宅に呼んで、その優雅な生活を見せつけたのは、「私の人生の選択が正しかったかどうかを検証したかったから」とも言っている通り、自分の価値観だけで「幸せ」とは言い切れなかったのかもしれません。

まとめ

実は、頼子は最終的に驚くような人生の選択をします。その割に、ローンを返済したはずのマンションについては、建て替えも進まないまま、決着がつかないラストになっています。(売り逃げしそうな終わり方ではありますが)

マンションに限らず、住宅は購入すべきなのか、賃貸でいるべきなのか、ローンはどう組むのがいいのか、そしてやはりマンションでも戸建でも、自治会にどう関わっていくべきなのか、
色々課題はあるし、それも共働き子育て世帯には、やはり荷が重いケースが圧倒的に多いと思います。

本書「ニュータウンは黄昏れて」は、そんな子育て世帯が住宅購入を検討するときには必ず呼んでおいた方がよい、必読書です!

それでは、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。